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知的財産権

★インターネットの掲示板上で著作権を侵害する書き込みがあった場合に掲示板の運営者に対してその書き込みの送信等の差止めと損害賠償が認められた事例(2ちゃんねる小学館事件控訴審判決) (東京高裁平16・3・11判決・判例時報1893号26頁)

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★他社(印刷機メーカー)製造販売の印刷機に嵌め込まれた印刷用インクボトルに、自社が製造するインクを充填して販売する行為が商標権侵害に当たるとされた事例 (東京高裁平15・1・21判決・判例時報1883号87頁)

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★マンションの分譲の宣伝に当たり「ラ ヴォーグ南青山」「La Vogue Minami Aoyama」等の標章を使用する行為が不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争行為に当たるとされた事例 (東京地裁平16・7・2・判例時報1890号127頁)

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★営業の普通名称に店舗等の所在地の名称を付した営業表示の使用が、不正競争法2条1項1号の不正競争行為にあたらないとされた事例(東京地裁平16・3・5判決・判例時報1854号153頁)

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★インターネットの掲示板上で著作権を侵害する書き込みがあった場合に掲示板の運営者に対してその書き込みの送信等の差止めと損害賠償が認められた事例(2ちゃんねる小学館事件控訴審判決) (東京高裁平16・3・11判決・判例時報1893号26頁)

【事案】

Yはインターネット上に電子掲示板「2ちゃんねる」を開設・運営しているところ、ある書籍収録の対談記事が掲示板上に無断で転載された。この記事の著作権を有する作者と出版社(小学館)は、「2ちゃんねる」の開設・運営者であるYに対し、ファックスや電子メールで当該書き込みの削除を要請するなどしたが、Yは削除に応じなかった。そこで、出版社らは、Yに対し、当該書き込みの送信可能化・自動公衆送信の差止め(著作権法112条1項)及び損害賠償請求を提訴した。

【判旨】

第1審は、「2ちゃんねる」が自由な書き込みができる掲示板であることを指摘した上で、無断転載の書き込みの「送信可能化を行って本件各発言を自動公衆送信し得る状態にした主体は本件発言者であって、被告が侵害行為を行う主体に該当しない」として、請求を認めませんでした。  
これに対して、本判決(控訴審)は、「自己が提供し発言削除についての最終権限を有する掲示板の運営者は、これに書き込まれた発言が 著作権侵害に当たるときは、そのような発言の提供の場を設けた者として、その侵害行為を放置している場合には、その侵害態様、著作権からの申し入れの態様、さらには発言者の対応いかんによっては、その放置自体が著作権侵害行為と評価すべき場合もある」との規範を立てた上で、本件では、対談記事のほぼそのままの転載であること、出版社側から削除要請がなされ、弁護士からの警告書も送付されたこと等の事情を挙げ、Yは当該書き込みを速やかに削除すべきであったにも関わらず、何らの是正措置をとらなかったのだから故意又は過失により著作権侵害に加担したものとして、差止めと損害賠償請求を認めました。

【解説】

インターネットの普及に伴い、掲示板の書き込みについて法的問題をはらむ事件(名誉毀損、プライバシー侵害、著作権侵害など)が増えています。本件は、無断転載という著作権の事例について、1審の判断とは逆転して、差止めと損害賠償請求を認めた重要な判決です(控訴審で確定)。  
この種のインターネット掲示板は、不特定の者が書き込め、閲覧できるため、「自由な言論空間」という側面を持っていますが、他方、ひとたび権利侵害が生じるとその結果も重大なものになります。  
本件では、Y(「2ちゃんねる」開設者)側は、書き込みをした発信者はIPログから追跡可能であると抗弁したのですが、判決は「IPアドレスによって特定されるのは当該発言がいずれのプロバイダーから発信されたかにとどまり、発信者までの特定は当該プロバイダーが厳格に管理している個人情報を得て初めて可能になる」として、Yの抗弁を認めませんでした。  
なお、損害額の認定については、本件の書き込みへのアクセス数と一般的な情報提供サービスの単価(週刊誌『サンデー毎日』のファックスによる情報提供料:1回あたり300円)をもとに算出しており、この点も参考になります。
                 


★他社(印刷機メーカー)製造販売の印刷機に嵌め込まれた印刷用インクボトルに、自社が製造するインクを充填して販売する行為が商標権侵害に当たるとされた事例 (東京高裁平15・1・21判決・判例時報1883号87頁)

【事案】

X社は印刷機メーカーで、印刷用インクが充填されたインクボトルを嵌め込む型の印刷機を製造販売している。  
Y社は、X社のインク使用済みの空きボトルに自社が製造するインクを充填して、X社の印刷機の利用者に対して販売している。 そこで、X社は、Y社の行為が自社の商標権を侵害するとして、インクの販売の差止め、インクボトルの廃棄、損害賠償を求めた。

【判旨】

原審は、Xの登録商標は、顧客から提供されたインクボトルに初めから付けられていたもので、Xの登録商標とインクボトルの内容物たるY社のインクとの間には関連性がなく、登録商標が商品の出所識別標識としての機能を果たす余地がないことは外形的に明らかであるから、Yの行為は商標の「使用」に当らないとして、請求を棄却しました。  
これに対して、X社が控訴したところ、本判決は、Y社が顧客から使用済みの空インクボトルの引渡しを受けて、同形のインクボトルに自社のインクを充填して販売するだけではなく、空インクボトルに充填された自社インクを販売する(つまり、顧客から空インクボトルの提供を受けることなしに販売する)ことも行っている等の事実を認定して、顧客らに「本件登録商標が付されたインクボトルに充填されたインクがX社を出所とするものである」との誤認混同のおそれを生じさせており、実質的にもYの行為は商標の「使用」に当るとして、商標権侵害を認めました。

【解説】

商標法2条3項2号は、商標権侵害の一態様として、「商標の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡す行為」を定めています。ただ、商標権を「使用」して侵害するというには、実質的判断として、その商標が商標の取引において出所識別機能を果たしていることが必要とされています。  
本件では、Y社はX社の空インクボトルを使用して自社のインクを販売していますが、これはそもそもインクボトルがX社の印刷機に備付け(嵌め込み型)であったためで、Y社としては自社のインクを売っているだけである(インク自体はY社のものだと顧客も認識しており、X社と「誤認混同」のおそれはない)と主張し、原審では認められました。これに対して、実際には、Y社はX社の空インクボトルに充填された自社インクを販売する(つまり、顧客から空インクボトルの提供を受けることなしに販売する)こともしており、つまり、X社の登録商標が付されたインクボトルに充填された(Y社の)インクがX社を出所とするものという誤認混同のおそれがあるから、商標侵害にあたるとして、高裁での逆転判決となったわけです。  
本件は、印刷機に備え付けのインクボトルと中身のインクとの誤認混同のおそれに係る事件ですが、他にも同種ケースは考えられ、影響があるものと思われます(なお、上告)。  
Y社としては、「YのインクがX社と無関係に製造されたものである」という表示(打ち消し表示)をしておけば、問題はなかったのですが、Y社はこれをせず、Y社インクとX社の商標とが誤認混同されやすい状況になってしまいました。ちなみに、高裁では和解の交渉もなされていたようで、裁判所からは打ち消し表示をした上でのY社インクの販売継続案が出されたようですが、Y社はこれを受けいれず、本判決に至っています。
なお、本判決は商標権侵害に伴う損害賠償の支払いを認めましたが、その際の損害額として、商標法38条2項「侵害者が侵害行為から受けている利益」は、侵害品の売上高から侵害行為のために要した費用のみを差引くべきであり、費用の主張立証責任は侵害者側が負うものとして、侵害者に厳しい判断を示しています。
                 


★マンションの分譲の宣伝に当たり「ラ ヴォーグ南青山」「La Vogue Minami Aoyama」等の標章を使用する行為が不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争行為に当たるとされた事例 (東京地裁平16・7・2・判例時報1890号127頁)

【事案】

「VOGUE」は、アメリカ合衆国において100年以上にわたり販売され続けている世界的に知られたファッション雑誌であるが、米国法人X1は、日本でも、昭和24年ころから米国版「VOGUE」を発刊していた。日本法人X2は、平成11年から,日本において「VOGUE」誌の日本版である「VOGUE NIPPON」誌を発刊している。
Yは、東京都港区南青山に「ラ ヴォ−グ南青山」という名称のマンションを建築し、分譲した。Yは、マンションのエントランス部分や、パンフレット、宣伝用ポケットティッシュ、仲介業者の物件案内のホームページ、モデルルーム等に「ラ ヴォーグ南青山」「La Vogue Minami Aoyama」(以下「被告標章」)等の標章を使用していた。  
そこで、Xらは、「VOGUE」「ヴォーグ」(以下「原告標章」)をXらの周知又は著名商品等表示であると主張し、Yが被告標章を使用する行為が不正競争防止法2条1項1号又は同2号に該当すると主張して、同法3条、4条に基づき、被告標章の使用差止と損害賠償を請求した。

【判旨】

本判決は、まず不正競争防止法2条1項1号における「混同」の意義につき最高裁(昭和56年(オ)第116号同59年5月29日第三小法廷・民集38巻7号920頁)の規範(割愛)を示し、実際に「混同」を生ぜしめる行為といえるかどうかは、「他人の商品等表示と自己の使用表示との類似性の程度、他人の商品等表示の周知著名性及び独創性の程度や、自己の表示の使用商品等と他人の業務に係る商品等との間の関連性との程度、取引社及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、上記自己の表示の使用商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断すべきである」とした上で、以下のとおり判断した。  
すなわち、原告標章は、我が国においては、一般的に使用される語ではないこと、原告標章が長年に渡って使用され、周知性が極めて高いこと、原告標章が被告標章と呼称及び観念において同一であって、両標章が類似すること、両標章の使用される商品の間に関連性が認められ、需要者が共通し、本件マンションが「VOGUE」誌及び「VOGUE NIPPON」誌の高級でファッショナブルなイメージと同じイメージで販売されていること等を総合的に考慮すれば、被告標章は、これに接した需要者に対し、原告標章を連想させ,原告らと同一の商品か事業を営むグループに属する関係又は原告らから使用許諾を受けている関係が存在するものと誤信させるものと言え、不正競争行為に当たると判断して差止請求を認めた。そして、損害賠償については、本件マンションの建物部分の価格の総額9億5000万円の5%である4750万円を原告の損害として認めた。 

【解説】

本件で問題となっている「VOGUE」とは、「流行 はやり」を意味するフランス語に由来する英語の普通名詞であり、造語ではありません。そして、アメリカ合衆国やフランスでは、この「VOGUE」という語を含む商標が多数登録されているため、原告標章は周知著名性及び独創性に乏しく、不正競争行為とは言えないようにも思えます。しかし、裁判所は我が国においては、「VOGUE」という語は決して通常一般的に使用される語ではないこと、原告らが法的手段を通じて、原告標章の希釈化防止措置等を行っている点を重視して不正競争行為と認定しました。  
また、ファッション雑誌の販売とマンションの販売とでは商品自体に類似性はありません。しかし、「VOGUE」誌又は「VOGUE NIPPON」誌が高級なブランドイメージ等を全面的に押し出しており、近年デザイナーズマンションという高級で都会的なファッション性のあるマンションがもてはやされ、ファッション雑誌と建築が無縁ではなくなっていること、実際、原告らは、「VOGUE NIPPON」誌において,デザイナーズマンション等のファッショナブルな建築関係の特集を行っていました。そして、被告が本件マンションをデザイナーズマンションと銘打ち、その高級感やファッション性を売り物にして販売していたこと等を考慮して両者の商品の間には関連性があると判断しました。  
不正競争防止法2条1項1号の「混同」の意義について判断基準を示して、詳細な当てはめを行っている本判決は、今後、多いに参考になるものと思われます。


★営業の普通名称に店舗等の所在地の名称を付した営業表示の使用が、不正競争法2条1項1号の不正競争行為にあたらないとされた事例(東京地裁平16・3・5判決・判例時報1854号153頁)

【事案】

原告は、180店舗ものドラッグチェーンを展開する「セイジョー」であり、一方、被告は、東京都世田谷区成城に「成城調剤薬局」を経営している。  
原告「セイジョー」は、自社の営業表示「セイジョー」が周知で、被告の「成城調剤薬局」が自社の「セイジョー」と類似していて自社の営業と混同を生じさせているとして、不正競争防止法2条1項1号、3条に基づき、被告表示の使用の差止めなどを求めた。

【判旨】

判決は、両社の営業表示「セイジョー」と「成城調剤薬局」とを比較して、音数が異なる点、取引形態も異なる点(「セイジョー」は日用品も販売する大手ドラッグストアであるが、「成城調剤薬局」は病院の処方箋にもとづく調剤の薬局である。)点などを指摘して、両者は類似のものとは言えないと判示しました(前提として、「成城」は地名であり、「調剤」「薬局」は普通名称なので、それぞれだけでは営業主体の識別表示ではなく、「成城調剤薬局」全体として営業主体の識別表示となると述べています。)
また、「成城調剤薬局」という表示が営業の普通名称に地名を組み合わせただけの表示であることから、こうした表示は頻繁に行われていることで、本来的に特定人の独占になじまないものだから、特段の事情がない限り、その使用は自由であると判示しました(不正競争防止法12条1項1号の趣旨と同様。)

【解説】

ある営業表示が他人の営業表示と類似しているかどうか(不正競争防止法2条1項1号)は、「取引の実情の下において、取引者、需要者が、両者の外観、称呼又は観念に基づく印象、記憶、連想等から両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断すべき」(最高裁判決)とされています。  
本判決は、この基準を具体的にあてはめて、「セイジョー」という表示と「成城調剤薬局」という表示が類似していないとしました。その際、単に外観を比較するだけではなく、「セイジョー」が日用品も販売する大手ドラッグストアであるのに対し、「成城調剤薬局」が病院の処方箋にもとづく調剤の薬局であるという「取引の実情」も考慮している点が重要です。  
確かに、単に営業の普通名称(「調剤薬局」)と地名(「成城」)とを組み合わせただけでは、よくあるパターンの表示と言わざるを得ないでしょう。
ただし、判旨は、「もっとも、かかる営業表示であっても、特定人がそれを長年にわたり使用し続けることにより、需要者において当該特定人の営業を表示するものとして広く認識されるに至っている場合においては、当該営業表示を当該特定人の独占にかからしめることが不当とはいえない」として、「営業の普通名称(「調剤薬局」)+地名(「成城」)」といった営業表示の独占使用が保護される余地を残しています。




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