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消費者法

★進学塾の受講契約の中途解約を一切許さず、支払済みの受講料の返還を認めない特約が消費者契約法10条により無効であるとされた事例 (東京地裁平15・11・10判例タイムズ1164号153頁)

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★大学を設置運営する学校法人は、大学への入学を辞退した者に対して、既に納付された入学金を不当利得として返還すべき義務を負わないとされた事例
★大学を設置運営する学校法人が、大学への入学を辞退した者に対して、既に納付された授業料等を返還しない旨の特約が民法90条に違反しないとされた事例
(大阪地判平15・9・19判決・判例タイムズ1143号276頁)

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★進学塾の受講契約の中途解約を一切許さず、支払済みの受講料の返還を認めない特約が消費者契約法10条により無効であるとされた事例 (東京地裁平15・11・10判例タイムズ1164号153頁)

【事案】

Xは、平成14年春、大学医学部専門の進学塾を経営するYとの間で、普通講習受講契約を締結し、授業料等を支払った。Xは、同年5月、Yとの間で、年間模擬試験受講契約を締結し、受講料29万3300円を支払った。その後、Xは、普通講習受講契約のうち英語と数学の受講契約を解除し、これに対し、Yは、同年6月英語と数学に係る受領済みの受講料126万9400円を冬期講習等の受講料に充当する旨通知した。Xは、同年9月、Yとの間で、冬期講習受講契約を締結し、上記126万9400円から冬期講習の受講料76万8000円等を差し引いた残金45万3400円の返還を受けた。Xは、冬期講習の開始前の同年10月、Yに対し、冬期講習受講契約及び年間模試受講契約を解約する旨の意思表示をし、冬期講習の受講料及び未実施の年間模試受講料9万5700円の合計86万3700円の返還を求めて本訴を提起した。これに対してYは、受講契約の中途解約を一切許さない特約(以下「本件解除制限特約」)を根拠に争った。

【判旨】

本判決は、本件解除制限特約の効力について、冬期講習受講契約等は準委任契約であり、民法上は当事者がいつでも契約を解除することができるとされているが、本件解除制限特約は解除を全く許さないとしているから、同特約は民法の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、「消費者の権利を制限」するものであるということができる。また、Xが冬期講習受講契約を解除したのは、一番早く開始される講習の26日前であり、年間模試受講契約を解除したのも、Y主催の模試については実施日の3週間以上前、提携予備校主催の模試については実施日の1か月以上前でYが提携予備校に受験料を振り込む前であった。したがって、当該冬期講習や年間模試が複数の申込者を対象としており、その準備作業等が申込者1人の解除により全く無に帰するものであるとは考えられない以上、解除時期を問わずに、申込者からの解除を一切許さないとして実質的に受講料又は受験料の全額を違約金として没収するに等しいような本件解除制限特約は、信義誠実の原則に反し「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して、消費者の利益を一方的に害する」ものというべきであるとして、本件解除制限特約は消費者契約法10条により無効であるとした。

【解説】

平成13年4月1日に施行された消費者契約法は、消費者に不当に不利益な契約条項を無効とする規定(8条ないし10条)を設けています。10条は、8条及び9条に該当しない契約条項であっても、消費者に不当に不利益な契約条項を無効にできるところに意義があります。なお、同種の規定はドイツや韓国にも見られます。
今回の判決は、本件解除制限特約がXの解除によってYには何ら損害が生じているわけではないにもかかわらず、解除時期を問わず、一律に解除を制限している点を問題視しています。解除の時期によっては「消費者の利益を一方的に害する」とまでは言えない場合も十分にあり得、その場合は今回の判決とは異なった結論となった可能性も考えられます。10条は要件が抽象的であり、どのような契約条項が無効とされるのか問題とされてきました。そのため、10条を適用して契約条項を無効とした今回の判決は、同条の解釈、運用を巡って今後多いに参考になるものと思われます。

<参考消費者契約法>
第10条民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。


★大学を設置運営する学校法人は、大学への入学を辞退した者に対して、既に納付された入学金を不当利得として返還すべき義務を負わないとされた事例
★大学を設置運営する学校法人が、大学への入学を辞退した者に対して、既に納付された授業料等を返還しない旨の特約が民法90条に違反しないとされた事例
(大阪地判平15・9・19判決・判例タイムズ1143号276頁)

【事案】

社会的に大きな話題となった学納金返還訴訟です。東京・京都等の各地裁で提訴がなされましたが、今回、大阪地裁で判断が出されたのは、平成13年4月1日の消費者契約法施行前にY医科大学に合格し、入学金や授業料等(学納金)を支払った二人の原告に関するものです(消費者契約法の施行前か施行後かという点の重要性は後述します)。
原告Aは、平成12年2月25日にY医科大学に合格し、同月29日に入学時納入金として約600万円(内訳:入学金100万円、前期教育充実費250万円、施設設備費100万円、前期授業料120万円など)を支払いました。入学手続に関する説明書には、「平成12年3月21日(火)午後5時を過ぎてからの入学辞退については、既納入金は一切返還いたしません。」と記載されていました。その後、Aは3月22日に、C医科大学に合格したため、翌23日に、Y医科大学に対して、入学を辞退する旨通知しました。
原告Bは、平成13年3月27日に繰り上げ合格し、その日にAとほぼ同額の入学時納入金を支払いました。入学手続に関する説明書には、入学時納入金の納付を含めた入学手続は翌28日の午後3時までに完了しなければならない旨とともに、「入学辞退については、既納入金は一切返還されません。」と記載されていました。その後、Bは28日に、D医科大学に合格したため、同月30日に、Y医科大学に対し、入学を辞退する旨通知しました。
AとBは、入学時納入金(学納金)の返還を求めて大阪地裁に提訴しましたが、その請求には、(1)そもそも学納金は入学辞退によって返還される性質のものか、(2)(返還される性質のものであるとしても)学納金を返還しないという説明がなされていた以上、有効な不返還特約の存在により返還請求が認められないのではないか、という問題点がありました。

【判旨】

1.学納金のうち、(1)入学金については、当該大学に入学しうる地位ないし資格の対価(一種の権利金)としての性質を有することから、入学手続完了後に自ら入学手続を辞退した場合には、大学側は入学金返還義務を負わない、(2)入学金以外の前期教育充実費、施設設備費、前期授業料等(以下「授業料等」といいます)については、入学後において大学から教育役務等の提供を受けるべき対価としての性質を有することから、大学側は本来的には返還義務を負うと判断しました。
2.原告らの、本件不返還特約は公序良俗に違反して無効であるという主張に対しては、Y医科大学の100名という入学定員を超過したり、逆に欠員が生じた場合には、本来支給されるはずの国庫補助金を減額される可能性があること、入学式までに欠員を補充できなかった場合、6年間欠員のまま、学校運営を行わざるを得なくなるから、欠員分の授業料等を取得できないという損害が生じること、大学の収入の大部分が授業料と国庫助成金であること、Y医科大学においては、平成9年度から平成13年度までの間、ほぼ毎年、正規合格者のうち実際に入学する者の割合が30%未満であり、例年、3月30日ころまで、10回程度も、補欠者の繰り上げ合格を実施するなど定員を厳守する策を講じていたこと、原告らが入学手続を行ったのは、単に浪人生活を回避するという消極的理由のみからではなく、より優先的に志望している他大学に合格できなかった場合には、Y医科大学に入学したいという希望を有していたからであり、Y医科大学が原告らの無思慮・窮迫に乗じて授業料等を支払わせたとは認められないことなどを指摘して、本件不返還特約を有効と解しました。
結局、入学金についてはそもそも返還される性質のものではない、授業料等については不返還特約が有効であるとして、原告らの請求は完全に棄却されました。

【解説】

14年度の入試に関するもので平成13年4月1日の消費者契約法施行後であったのに対し、今回の事案は同法施行前であったことから生じています。(※消費者契約法9条1号は、消費者契約の解除に伴う損害賠償の予定額や違約金の定めについて、当該事業者に生ずべき「平均的な損害の額」を超える部分を無効としています。そして、京都地裁の判決やその他の判決において、学納金の不返還特約には同条が適用されるとの結論がとられており、大学側が「平均的な損害の額」を主張・立証しなかったので、結局、不返還特約の全部が無効であるとされました。)(1)の相違に関しては、入学金の性質についての見解が異なるもので、京都地裁の判決は、入学金は「学生としての地位を取得するについて、入学に伴って一括して支払われるべき金銭であって、入学に伴って必要な学校側の手続及び準備のための諸経費に要する手数料」であるから、在学契約の始期である4月1日までに解約の意思表示をすれば返還を求めることができると解しているようです。
さて、今回の判決は理論的には十分頷けるのですが、結論が妥当かと言われると疑問もあるところです。まず、入学金は授業料等と異なり性質上返還されない特別な権利金であるとのことですが、使途などの点で授業料等との区別が極めて曖昧なお金ですので、結局、「入学金」という名目にしておけば返還は不要であるということにもなりかねません。学納金返還の問題が大きくなったことで、今後、学納金のうち「入学金」の割合を高く設定する大学が出てくることも十分考えられます。
また、不返還特約については、定員を厳守するという大学側の苦労は理解できますが、結局、大学は、入学辞退者に学納金を返還しない一方で、繰上合格者からも同様に学納金を支払わせることになって、二重の利を得ることになりますが、授業料等が一切返還されないという入学辞退者の損失と比べると妥当とは言い難いでしょう。入学辞退が多発して欠員が生じることによる損失は、大学側の学業や経営に関する努力によって回避すべきであるといえなくもないですし(さすがに極論でしょうか?)。
今後の展望ですが、本判決以降も、今回と同様の結論を採用する判決が多く出ていることからすれば、(1)入学金については返還される性質のものではない、(2)消費者契約法施行前の授業料等の不返還特約は有効である、(3)同法施行後の授業料等の不返還特約は無効であるという結論となる可能性が高いと思われます(あくまで私見です。特に(2)については、合格発表後短期間内に学納金を納入させるような取り扱いは避けるべきという文部科学省通知があった以上、以後学納金を返還しないという期限があまりにも早期に設けられていた場合には結論が変わる可能性があると思います)。それぞれ控訴がなされているようですので、今後の上級審での判断を見守りたいと思います。

<参考 消費者契約法>
(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第九条次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
一当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの当該超える部分
二当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年十四・六%の割合を乗じて計算した額を超えるもの当該超える部分
                




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